アップサイクルとは?リサイクルと違うの?

バルコニー屋根の端切れ

アップサイクルとは、ある製品の副産物、破棄物、役に立たないもの、不要なものを、より良い品質の材料や、より価値の高い製品にすることです。クリエイティブ・リユースとも呼ばれています。

これだと抽象的でわかりにくいかもしれませんね。具体的な例をご紹介しましょう。具体例を知っていただくことで、アップサイクルの意味が理解しやすいのではないでしょうか。

動画でもご説明しています。

アップサイクルの具体例

3 Quarters アテネのバルコニー屋根の端切れを使ったハンドメイド アップサイクルバッグ

ギリシャはアテネには日除けのバルコニーが民家に設置されることが一般的で、あちらこちらでバルコニーを見つけることができます。そのため、バルコニー生地は大量に製造されますが、その端切れも同時にたくさん生じてしまいます。その端切れを用いたバッグを作っているのが、3 Quartersです。リュックや、トートバッグ、ポーチなどを製作しています。
→ https://blog.hummingbags.com/3-quarters-handmade-upcycled-bags/

この例では、本来処分される端切れですから、破棄物を用いてより価値の高い製品(バッグ)を作り出していますね。

REMADE ヴィンテージレザージャケットを解体して仕立て直す ハンドメイド アップサイクルバッグ

ウクライナではレザージャケットを着ている人がたくさんいます。そのため、使われなくなったヴィンテージレザージャケットもたくさん生じてしまいます。そのヴィンテージジャケットに目をつけたのがREMADEです。使われなくなったヴィンテージレザージャケットを用いて、リュックを作っています。
→ https://blog.hummingbags.com/remade-upcycled-handmade-bags-with-vintage-leather-jacket/

この例では、使われないヴィンテージレザージャケット、つまり不要なものを用いてより価値の高い製品(バッグ)を作り出しています。

使われなくなったレザージャケット
使われなくなったレザージャケット

アップサイクルとダウンサイクル

アップサイクルという言葉と対になるのが、ダウンサイクルです。例えば、ペットボトルをリサイクルしましょうという取り組みは以前から日本でも行われていますよね。これもダウンサイクルのひとつです。

ダウンサイクルについては、こちらの記事にも書いています。

ダウンサイクルとは? – HUMMING BAGS BLOG

1994年に、SalvoNewsで、ライナー・ピルツ氏が初めてダウンサイクルという言葉を使用しました。その後、アメリカの建築家ウィリアム・マクドノー氏と、ドイツの化学者マイケル・ブランガート氏は書籍「サステイナブルなものづくり – ゆりかごからゆりかごへ 」で次のように述べています。

ほとんどのリサイクルは実際にはダウンサイクルです。時間の経過とともに素材の品質が低下します。プラスチックをリサイクルする場合、異なるプラスチックと混ぜられ低品質な混合物を生成します。その後、公園のベンチやスピードバンプなどのアモルファスで安価なものに成形されます。従来のリサイクルでは、これらの材料は一緒に溶けてしまい、結果として製品が弱くなり、有用性が低下します。

サステイナブルなものづくり – ゆりかごからゆりかごへ

このように、時代はダウンサイクル(リサイクル)からアップサイクルへとシフトしつつあります。それでは、あらゆる分野におけるアップサイクルを見ていきましょう。

あらゆる分野でのアップサイクル

アート

キルト

キルティングは、暖かい寝具の不足から生まれた伝統です。以前は、輸入生地は非常に高価で、地元の手織り生地は作るのに時間がかかりました。そこで、布地の小さな端切れを組み合わせて作り出されたのがキルトでした。

ワッツタワー

サイモン・ロディアが手がけたワッツタワー(1921〜1954)は、ゴミ捨て場から持ち込まれたセブンアップの瓶や、色鮮やかなタイルを用いて作られました。塔の数は14本、そのうち高いものは30メートルにも達します。
→ https://www.wattstowers.org

テープアート

マックス・ツォルンはオランダのテープアーティストです。一般的な茶色の放送テープから作品を作り出し、新しい形のストリートアートとして夜の街頭に飾ります。彼の作品は、外科用のメスを使用して、アクリルガラスにテープの層を貼り付けることで、ステンドグラスの窓のようにアートが浮かび上がります。彼の先駆的なアップサイクルなテクニックは、ドイツのフライブルクで開催された、リサイクルとアップサイクルの最初のデザインフェスティバルであるFrei-Cycle 2013で紹介されました。
→ https://www.maxzorn.com

音楽

パラグアイのミュージシャンであるルイス・サランは、「Sound of Earth」というプロジェクトの創設者兼ディレクターです。彼はこのプロジェクトで音楽学校を設立し、カテウラのリサイクルオーケストラを始めました。カテウラはパラグアイ最大のゴミ埋め立て地であり、毎日約1500トンものゴミが捨てられています。彼らはゴミの中から、古い鍋やフォークなどから楽器を作り、オーケストラを演奏しています。

生産される繊維製品のほとんどはリサイクル可能であるにも関わらず、米国だけで85%が埋立地に行き着きます。ファストファッション企業は安価な製品を大量生産することが目的であるため、この問題に大きく加担しています。

持続可能な生活を送るためには、ファストファッションが推奨する「捨てる」とは真逆のアプローチ「アップサイクル」が必要です。アールト大学のハーバート・シクスタ博士は「衣類をリサイクルするだけでなく、天然繊維をしのぐような、可能な限り最良の再生繊維を生産したい」と研究を行なっています。
→ https://phys.org/news/2017-04-upcycling-fast-fashion-pollution.html

食品

世界中でたくさんの食物が無駄になり問題となっていますが、これらを再利用する良い方法があります。豚などの多くの動物は、人が食べ残した食品を食べることができます。食品破棄物を寄付することができ、レストランは顧客が食べないすべての食品を節約できます。アメリカの一部の州では、地元の農業普及局に連絡し、食品廃棄物の寄付先を見つけ、寄付を行うことができます。
→ https://www.epa.gov/sustainable-management-food/reduce-wasted-food-feeding-animals

日本でのアップサイクル

私の主観では、日本でのアップサイクルは諸外国に比べるとまだまだ浸透していないように感じます。そもそも、アップサイクルという言葉すらあまり知られていないようですね。

とは言え、日本でもアップサイクルの取り組みがありますので、ご紹介しましょう。

端財アップサイクルプロジェクト etsaw(エットソー)

大阪大学では、端財アップサイクルプロジェクト etsaw(エットソー)で、学生、大学、クリエイター、企業が一環となって工場から出る端材や不良品、不要品を、照明や椅子、インテリア雑貨などを作る試みをしています。
→ http://etsaw.jp

ビームスクチュール(BEAMS COUTURE)

有名アパレルセレクトショップのビームスは、ビームスクチュール(BEAMS COUTURE)というブランドを新たに立ち上げ、ビームスの倉庫にあるデッドストック商品を、さまざまなクリエイターやブランドと提携して一点モノの製品を作りあげています。ビームスの取引先や、賛同企業からも積極的に端切れや不良在庫を買い付けています。
→ http://www.beams.co.jp/special/beamscouture/

さいごに

アップサイクルという言葉自体がまだあまり浸透していない日本。私自身、最初「アップサイクル」という言葉を調べようとしても、日本語で見つかる説明は理解が難しく感じました。今回、なるべくわかりやすく、みなさんに理解してもらえるよう意識して書いてみました。とはいえ、まだまだ不十分だと思いますので、今後もブラッシュアップしていければと思います。

みなさまの、アップサイクルに対する理解の一助になれば幸いです。

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