1932年製造 オメガのミュシャをモチーフにしたアップサイクル腕時計はアクアノートを超えるか

ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ

ミュシャをモチーフにしたオメガの時計を購入しましたのでご紹介します。

動画でもご紹介しています。

アルフォンス・ミュシャの絵が好きです。しかし彼のことはあまり知らず、まさかチェコ出身の方だとは驚きました。昨年プラハへ行ったときに、ミュシャ美術館へ行っておけばよかったと後悔しています。プラハは好きな都市だったので、またいずれ行くこともあるでしょうし、楽しみが伸びただけだと考えるようにしています。

アルフォンス・ミュシャ

ミュシャとは

ミュシャ 自画像 wikiart.org

1860年、ミュシャはチェコの南モラヴィア州イヴァンチツェで生まれました。18歳で、プラハの美術アカデミーを受験するものの入学できず、ウィーンで画家として働いていました。その後、ミュンヘン美術大学やパリのアカデミージュリアンで絵を学びました。

1894年、ミュシャが34歳のころ、女優サラ・ベルナールとの仕事をはじめてから、彼の人生が大きく変わりました。サラ・ベルナールは演劇女優です。

1894年のクリスマスの夜のことです。彼女が主演で10月に公演した「ジスモンダ」がとても評判が良かったため、続編を年明けの1月4日に開催しようとしていました。そこで、広告用のポスターの製作を翌年1895年1月1日までに準備する必要がありました。しかし、年末であることもあり、いつものグラフィックデザイナーに依頼しようとしたところ休暇中のため対応してもらえませんでした。そのため、代わりにポスターを描ける人を急遽探していたのです。そのとき偶然見つかったのがミュシャでした。

ミュシャ ジスモンダの新しい広告ポスター parkstone.international

1895年1月1日、パリのあちらこちらにミュシャの描いたポスターが貼り出されると、大変好評で、ミュシャは一躍有名人となりました。これをきっかけに、ベルナールはミュシャと6年間の契約を交わしました。ミュシャの成功の引き金がついに引かれたのです。

ゾディアック(黄道十二宮)

ミュシャ ゾディアック muchafoundation.org

ミュシャの有名作のひとつである、ゾディアックです。私の好きな作品のひとつでもあります。

美しい女性の横顔。彼女は華やかなジュエリーを身に纏っています。大きなティアラ、イヤリング、ネックレス、どれも美しいですね。しかし、ジュエリーはあくまでも女性を引き立てるものです。この女性は自信に溢れており、けっしてジュエリーの美しさに劣っておりませんし、むしろジュエリーによってその美しさが際立っています。美しく自信のある表情からは、この女性の優しさや慈愛感のようなものも彷彿とさせます。

この作品は、ミュシャが印刷会社シャンペノワと契約したときの最初の作品です。本来は社内カレンダー用のデザインとして描かれたものでした。

オメガのミュシャモチーフ時計

オメガ ミュシャモチーフの時計との出会い

ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ
ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ

ミュシャについて調べていると、ふと出会ってしまったのがこちらの時計でした。アメリカの時計コレクターが所有している時計でした。私の好きなミュシャのゾディアックをモチーフにした時計でした。製造は1932年の、もう少しでアンティークと呼ばれる時計です(アンティークと呼ぶには100年以上経過している必要があります)。今のオメガでは考えられないようなデザインで、今のオメガとこのオメガは私の中ではもはや別物という認識です。

彫刻の入り方を見る限り、手彫りで彫刻されたものだと思います。ゴールドに見える部分は、おそらく金張りでしょう。青針は焼きだと思います。この時計の面白いところは、元々は懐中時計だったものを、腕時計に作り直しているところです。マリアージュウォッチだとか、コンバートウォッチだとか呼ばれたりしますが、私はあえてアップサイクルウォッチと呼びたいと思います。懐中時計は今の時代には使えない(使いづらい)ものですから、それを腕時計にすることは価値を高めているからです。

ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ
ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ

この手の時計は、価格はあってないようなもの。一般的には価値がないものとされており、コレクターの間で取引が行われる際に、気に入れば価格がつくというようなものです。パテックフィリップのように、型番がこれなら相場はこれぐらいというものはありません。今までそれほど興味のなかったジャンルの時計でしたが、ミュシャのモチーフとなると、一気にこの時計に興味が湧いてきました。私の好きなミュシャをオメガの職人が彫刻したわけですから、興味を引かないはずがありません。

アクアノートを超える時計に値するか

かつて所有していたアクアノート 時計ベルトはオーダーメイドのクロコダイル

私はこれまでに、いろいろな時計を購入してきました。高校生のときにオメガ スピードマスターを購入したのをはじめに、グランドセイコー スプリングドライブGMTや、ロレックス デイトジャスト 10Pダイヤモンド ブルーグラデーション、そして上がりの時計として購入したパテックフィリップ アクアノート金無垢モデルです。しかし、離婚をきっかけにスピードマスター以外の時計はすべて手放すことになりました。

一度は手にしてしまったパテックフィリップ アクアノートは最高の時計でした。もう一度買い直したいと今でも思うことがありますが、おそらく買わないでしょう。過去には振り返らず、もっと良いものを選びたいです。アクアノートは、奥行きのある特徴的な文字盤のデザイン、金無垢ゆえの重量感が心地よさ、アクアノート用にオーダーメイドで作った時計ベルト、どれも私にとって完璧でした。しかし、手放すこととなりました。一度この素晴らしさを知ってしまった私は、代わりにつけたいと思える時計がどこにもありませんでした。

かつて所有していたアクアノート 時計ベルトはオーダーメイドのガルーシャ

そこで、私はアクアノートを超える時計というものを探していました。このミュシャモチーフの時計がそれに値するのか、十分に検討しました。確かにこの手の時計は一般的には価値のないものです。しかし私の人生の文脈においてはそうでないように思えたのです。好きなミュシャのモチーフであること、オリジナルの作品と違い、時計としてデザインしなおされていることです。特に、オリジナルにはないアールヌヴォー調のデザインはミュシャとの相性も素晴らしく、これは決定的でした。

お金だけで買えるものはつまらない

ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ
ミュシャ ゾディアックモチーフの時計オメガ

また、アクアノートは確かに「最高の時計」だったのですが、私にとって最高の物欲を消化した嬉しさと同時に、虚無感のようなものを感じたのですよね。そのときに感じたものは「お金だけで買えるものはつまらない」ということでした。この時計は、このチャンスを逃せば一生手に入らない可能性が高いです。そして、ミュシャをオメガがデザインしなおしている点を考えれば、似たものすらそうそう出回らないように思います。また、私が今注力している事業のひとつのアプローチである「アップサイクル 」のキーワードとも符合します。私のミュシャと、オメガの職人、アップサイクルした無名の職人に対する思い、敬意から、この時計は私の人生の文脈においてはアクアノートを超えるものと判断しました。

さいごに

ただ高いだけの時計とまでは言いませんが、アクアノートでの教訓をもとに、私にとって最高の時計をようやく手に入れることができました。とは言ってもこれが上がりの時計かどうかを決定するのは、まだまだ早計です。ミニマログさんの予想通り、ロイヤルオークはやはり欲しいと思っていましたし、近い将来に雲上と呼ばれる時計に手を出すことになるでしょう。というか出します笑。

Share